「健康に良い油」として知られるオリーブオイル。近年では健康志向の高まりとともに、サラダやパン、炒め物に積極的に使う人が増えています。
地中海式食事法の中心的存在であり、世界中の研究からもその健康効果が注目されています。
今回は、オリーブオイルの栄養成分や健康へのメリット、選び方や摂取のコツまで、わかりやすく解説します。
成分・栄養素
オリーブオイルに含まれる主な栄養素を説明します。
オレイン酸(一価不飽和脂肪酸)
胃からの食物の排出を遅らせる作用があるため、糖質の吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇が抑えられることが知られています。
血糖値の急上昇は
①動脈硬化のリスク増
②糖尿病へ悪化
③強い空腹感やイライラ、不安感による過食で肥満やメタボの原因
以上3つの危険があります。
ポリフェノール類(オレオカンタール、オレアセインなど)
ポリフェノールは植物に豊富に含まれる天然化合物で、強力な抗酸化作用や抗炎症作用、抗菌・抗ウイルス作用など、さまざまな健康効果が注目されています。
具体的には
①心血管疾患、糖尿病、がん、神経変性疾患などの予防や改善
②腸内環境の改善や免疫機能を整える
③新型コロナウイルスなどの感染症に対する免疫強化効果
など様々な健康に良い効果があります。
ビタミンE(α‑トコフェロール)
ビタミンEは脂溶性ビタミンの一種で、主に「抗酸化作用」が強いことから“若返りのビタミン”とも呼ばれています。
効果としては
①抗酸化作用
②血行促進・血流改善
③生活習慣病の予防
④美肌・アンチエイジング効果
⑤ホルモンバランスを整える
などの効果があります。
研究論文から見る健康効果
生活習慣病の予防
学術誌『Nutrition Reviews』に掲載されたアンブレラビューによると、
オリーブオイルを摂取することと心血管疾患、がん、2型糖尿病のリスクを低減することは有益な関連性を示しています。
またこれらの効果によって全死因死亡率との間にも有益な関連性を示唆しています。
腸内環境の改善
動物実験では、エキストラバージンオリーブオイルを摂取することで、便中の微生物種が有意に増加することが確認されています。これは、腸内細菌の多様性が増すことを意味し、血圧の低下などにつながる可能性が示唆されています。
さらにオリーブオイルに含まれる生理活性成分は、軽度の慢性炎症を抑制する効果を持つことが動物実験で示されています。
動脈硬化や神経変性疾患のリスク低減
オリーブのマイナー成分は、アテローム性動脈硬化症(動脈硬化)、心血管疾患、神経変性疾患、および特定の種類の癌の発生率を減少させる上で重要な役割を果たすことが示されています。
まさにいいことづくめですね。
デメリットと注意点
オリーブオイルは非常に健康的な食品である一方、使用や摂取方法を誤ると逆効果になることもあります。以下の点には注意が必要です。
カロリーオーバーに注意
オリーブオイルは100gあたり約900kcalと高カロリーです。
健康効果があるからといって摂りすぎると、体重増加や脂質異常につながるリスクがあります。
推奨されるのは「1日大さじ1~2(約15~30ml)まで」。
加熱調理時の酸化
エクストラバージンオリーブオイルは高温(200℃以上)で**酸化しやすく、発煙点もやや低め(約180℃)**です。
強火炒めや揚げ物には不向きで、中温以下(炒め物・仕上げ用)や生食に適しています。
その他酸化のリスク
開封して空気に触れると、油が酸素と反応して「自動酸化」が起こります。
→ 開封後はなるべく早く使い切ることが大切です。
光に当たると、オイル中の脂肪酸が光分解されて酸化が進みます。
→ 透明ボトルではなく遮光瓶にすることで酸化を大幅に抑えることができます。
アレルギーの可能性(まれ)
オリーブアレルギーは非常にまれですが、花粉症(オリーブ花粉)と交差反応を示す場合があります。
アレルギー症状が出たことがある方は、摂取前に医師に相談を。
おすすめの摂取頻度と組み合わせ
頻度
毎日摂取を継続することで炎症マーカーの減少や糖尿病リスク低減など、積み重ね効果が期待できます。
組み合わせ
何にでも合うオリーブオイルですが、特におすすめの組み合わせはパンです。
パンは本来血糖値が急上昇しやすい食べ物ですが、オリーブオイルに含まれる脂質は、胃の内容物が小腸に送られるスピード(胃排出速度)を遅くします。
その結果、パンの糖質の吸収もゆるやかになり、血糖値の急上昇が抑えられるのです。
まとめ
オリーブオイルは、オレイン酸やポリフェノール、ビタミンEなどの優れた栄養成分を含み、生活習慣病の予防や腸内環境の改善、美容・アンチエイジングにまで幅広く効果が期待される“健康に良い油”です。
ただし、高カロリーであることや酸化しやすい性質もあるため、摂取量や保存方法、調理温度には注意が必要です。
おすすめは、1日大さじ1〜2を目安に、サラダやパンなどに取り入れること。毎日の食事に無理なく取り入れることで、体の内側から健康をサポートしてくれるはずです。
「体にいい油」を選ぶなら、オリーブオイルが頼れる味方になってくれます。
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