「毎日コーラ3リットル」を10年続けた人がいます
日本糖尿病学会の症例報告に、こんな例があります。
10年間、毎日コーラを3〜4.5リットル飲み続けていた39歳の女性。
ある日、喉の渇きが止まらなくなり、吐き気に襲われ、ついには手足に力が入らなくなって、緊急入院しました。
病院で調べると、重度の糖尿病で、血糖値は638mg/dL。健康な人の空腹時が100未満ですから、6倍以上です。
さらに、筋肉を動かすのに欠かせないカリウムが危険なレベルまで下がっていました。手足に力が入らなかったのは、このためです。
出典: 清涼飲料水の長期過剰摂取により低カリウム血症性ミオパチーを起こしたと考えられた2型糖尿病の1例(日本糖尿病学会誌)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/57/3/57_197/_article/-char/ja/
極端な例に見えるかもしれません。
でも、これは「ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)」と呼ばれる、決してめずらしくない状態です。

わたし毎日ジュース飲んでる…もう手遅れなのかな。

こわがらなくて大丈夫ですよ。大事なのは、今日から少しずつ減らしていくことです。いきなりゼロにしなくても、1杯減らすだけで体には意味があるんです。
目指すのはゼロ。ただし「いきなり」ではなく「少しずつ」
先に結論をお伝えします。
体のことだけを考えれば、清涼飲料水はゼロに近づけるのがベストです。ここは正直にお伝えします。
ただ、毎日の習慣をいきなり断つのは、多くの人にとって続きません。我慢の反動でドカ飲みしてしまえば、かえって逆効果です。
だから現実的な作戦はこうです。「1杯ずつ、水やお茶に置き換えながら、少しずつゼロに近づけていく」。
この作戦には、研究の裏付けが2つあります。ひとつは「減らしている途中にも、ちゃんと意味がある」こと。もうひとつは「水やお茶に置き換えることで、体の数字が変わった」ことです。
順番に見ていきましょう。
理由①:飲む量が増えるほど、リスクは階段状に上がる
34件の研究をまとめた2021年のメタ解析(複数の研究を統合して結論を出す、信頼性の高い分析方法)があります。
ここで分かったのは、加糖飲料を1日に1杯多く飲むごとに、2型糖尿病のリスクが27%、心臓や血管の病気のリスクが9%上がるということでした。
出典: Meng Y, et al. Sugar- and Artificially Sweetened Beverages Consumption Linked to Type 2 Diabetes, Cardiovascular Diseases, and All-Cause Mortality. Nutrients. 2021.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8402166/
ここで大事なのは「1杯ごとに」という部分です。
リスクは「飲む・飲まない」の白黒ではなく、量に応じて階段のように上がっていく、という関係が示されています。
裏を返せば、1杯減らせば、その1杯分だけリスクの階段を下りられるということ。
「全部やめられないなら意味がない」ではないのです。ゼロに向かう途中の1杯にも、ちゃんと価値があります。
なぜ甘い飲み物がここまで影響するのか。仕組みはシンプルです。
500mLの清涼飲料水には、角砂糖およそ10〜15個分(約40〜60g)の糖分が入っています。液体なので、噛まずにあっという間に吸収され、血糖値が一気に上がります。

喉が渇く → 甘い物を飲む → 血糖が上がってまた喉が渇く。この悪循環にはまると、冒頭の女性のように「毎日何リットルも」に膨らんでいきます。
若い世代も無関係ではありません。部活でスポーツドリンクを水代わりに大量に飲み、意識がもうろうとする状態で救急搬送される10代の例も報告されています。「スポーツドリンク=健康的」という思い込みには、少し注意が必要です。
理由②:水やお茶に変えることで、数字が改善した

やり方はシンプルです。清涼飲料水の代わりに、水・お茶・無糖の炭酸水を飲む。それだけです。
水分そのものは、体に欠かせません。減らすのはあくまで「糖分」であって、飲む量ではありません。
この「置き換え」の効果を確かめた研究があります。2024年に発表されたランダム化試験(もっとも信頼性が高いとされる比較実験)のメタ解析です。
6件の試験(合計約1,700人)をまとめたもので、加糖飲料を水やカロリーゼロの飲み物に「置き換えた」グループでは、BMI(体格の指標)が下がったと報告されています。
数字にすると、成人でおよそ1kg分の差。飲み物の中身を変えただけで出た変化です。
出典: Tobiassen PA, et al. Substitution of sugar-sweetened beverages with non-caloric alternatives and weight change. Obesity Reviews. 2024.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37880814/
ちなみにこの効果は「続けている間」のものでした。置き換えをやめて元に戻ると、体もゆっくり元に戻っていきます。
だからこそ、一気に全部を変えるより、続けられる範囲で1杯ずつ置き換えていくほうが、結果的にゴールに届きます。

少しずつ置き換えるのであれば、できそうな気がしてきた。

そうなんです。いきなりジュースを全て断つということも難しいかと思います。まずは1日1杯減らすことからでいいので、無理のない範囲で続けてください。
置き換えのコツをひとつだけ。いちばん量を飲む「喉がカラカラの1杯目」を、水やお茶にすることです。甘い物はそのあとの「味わう1杯」に回す。これだけで総量がぐっと減ります。
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まとめ
- 体にとってのベストは、清涼飲料水をゼロに近づけること。ただし、いきなり断つのは続かない
- リスクは飲む量に応じて階段状に上がる。1杯減らせば、その1杯分だけ意味がある
- 清涼飲料水の代わりに水やお茶を。それによって、研究では体格の指標が改善した
- まずは1日1杯の置き換えから。喉が渇いたときの「1杯目」を無糖にするのが効果的
甘い飲み物は、毎日の小さな楽しみでもあります。だからこそ一気に断つのではなく、1杯ずつ置き換えるところから。無理なく始めてみてくださいね。
※この記事は健康情報の紹介であり、診断・治療を目的としたものではありません。症状が気になる場合や持病のある方は、自己判断せず医療機関にご相談ください。


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