厚生労働省が、10年ぶりの改訂版「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を2024年に出しました。
元医療職の私が読んで、40〜60代が覚えておくべき数字は5つに絞れました。
結論から言うと、良い睡眠は「6時間以上」と「朝、休まった感覚があるか」の2つで判断します。
この記事では、その5つの数字を根拠の研究つきで紹介し、私が実際にできていること・できていないことも正直に書きます。
良い睡眠は「時間」と「朝の休養感」の2本立て
このガイドの芯は、1つです。
睡眠の量(時間)だけでなく、質(睡眠休養感)で判断する。 睡眠休養感とは「朝目覚めたとき、休まったと感じる感覚」のことで、ガイド全体のキーワードになっています。
背景には日本人の睡眠不足があります。令和元年の国民健康・栄養調査では、睡眠が6時間未満の人は男性37.5%・女性40.6%でした。男性の30〜50代、女性の40〜50代では4割を超えています。
出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(2024年2月) https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf / 成人向け概要「Good Sleepガイド」 https://www.mhlw.go.jp/content/001288005.pdf
なぜ「時間」だけでは足りないのか。ガイドが根拠にしているのが、次の研究です。
アメリカの中高年5,804名を追跡した研究では、40〜64歳で「睡眠時間が短く、朝の休養感もない」人は死亡リスクが1.54倍でした。逆に「睡眠時間が長く、休養感もある」人は0.55倍と報告されています。
興味深いのは65歳以上です。睡眠時間そのものより、「布団にいる時間が長いのに休養感がない」人で死亡リスクが1.57倍でした。
出典:Yoshiike T, et al. (2022) Scientific Reports 12:189 https://www.nature.com/articles/s41598-021-03997-z (全文無料)
同じ6時間でも、朝スッキリ起きられているかで意味が変わります。 ここから、具体的な数字を5つ見ていきます。
40〜60代が覚えておきたい数字 5選

1. 睡眠時間は6時間以上
成人の適正な睡眠時間は、おおよそ6〜8時間。少なくとも6時間は確保するのがガイドの推奨です。
必要な睡眠時間には個人差があるので、日中の眠気と朝の休養感を手がかりに、自分に合う長さを探すよう書かれています。
知っておきたいのは、眠れる時間は年齢とともに減ることです。脳波で調べた研究では、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間と、20年ごとに30分ずつ短くなっています。
40代で「若い頃より眠れなくなった」と感じるのは、体の自然な変化です。
2. 休日の寝だめは1時間まで

平日の寝不足を休日に取り返す「寝だめ」。ガイドは、効果があるのは条件つきだと言っています。
アメリカの40〜64歳3,128名を約12年追跡した研究では、平日6時間以上眠っている人が休日に1時間程度多く眠ると、寝だめしない人に比べて死亡リスクが約半分(0.48倍)でした。
しかし、平日の睡眠が6時間未満の人は、休日に寝だめをしても死亡リスクは下がりませんでした。2時間以上の寝だめにも効果はなかったと報告されています。
出典:Yoshiike T, et al. (2023) Sleep and Biological Rhythms 21(4):409-418 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10900010/ (全文無料)
休日に長く眠らないと持たないなら、それは平日の睡眠時間が足りていないサインです。 寝だめで補うより、平日を30分でも延ばすほうが先です。
3. カフェインは1日400mgまで。夕方以降は翌日に残る

カフェインは1日400mg(コーヒーで700cc程度)を超えると、夜眠りにくくなる可能性があるとされています。
量と同じくらい大事なのがタイミングです。カフェインが体内で半分に減るまでの時間は、日本人で3〜7時間と幅があります。
ガイドの例では、19時にコーヒー1杯分(100mg)をとると、半減期が5時間の人は24時にまだ50mgが体に残っています。
夕方以降のコーヒーは、寝る時間にまだ半分残っていると考えてください。
4. 入浴は寝る1〜2時間前
寝る前に体を温めると、そのあと体温が下がる流れで眠りに入りやすくなります。
ガイドの目安は、就寝の約1〜2時間前に入浴すること。ぬるめのお湯にゆっくりつかると、寝つきが良くなり眠りも深くなると報告されています。
5. 65歳以上は布団にいる時間を8時間以内に
ここは親世代に伝えたい数字です。
高齢者では、寝不足より「寝すぎ」のリスクが目立ちます。65歳以上では、布団にいる時間が約8時間を超えると死亡リスクが上がると報告されています。
ガイドの目安は「1週間の平均睡眠時間+30分」を布団にいる時間の上限にすること。長い昼寝を避け、日中は活動的に過ごすことも推奨されています。
生活習慣や寝室の環境を整えても朝の休養感が上がらない場合、睡眠時無呼吸などの病気が隠れていることがあります。いびきや日中の強い眠気があれば、医療機関に相談してください。50代以降で増える病気です。

数字が5つもあると、全部守るのは大変そう…

全部やらなくて大丈夫ですよ。ガイド自身も「個人差を踏まえ、可能なものから」と書いています。参考までに、私ができていることと、できていないことを正直に出しますね。
私ができていること4つ、できていないこと2つ
ガイドを読み終えて、自分の生活を照らし合わせてみました。
できていることは4つです。
- コーヒーは1日1〜2杯(400cc)まで。また15時以降に飲まない。
カフェインの半減期が5時間なら、15時に飲んだ分は20時に半分。23時ごろには3分の1ほどまで減っている計算です。 - 寝床にスマホを持ち込まない。 ガイドでも「寝る前・寝床でのデジタル機器の使用は避ける」と明記されています
- 寝る直前の夕食・夜食をしない。 直前の食事は翌朝の休養感を下げると報告されています
- お酒とたばこは、もともとやらない。 寝酒は寝つきは良くしますが、後半の眠りを浅くし、続けると依存につながるとされています
できていないことは2つ。入浴と運動です。
入浴は、娘の寝かしつけがあるので「寝る1〜2時間前にゆっくり湯船」は現実的に難しいです。ここは今の生活では無理をしないことにしました。
その分、運動を頑張ることにしました。ガイドには「1日60分程度の身体活動が理想だが、60分未満でも定期的な運動習慣を確立し、少しずつ増やす」とあります。
まずは60分未満でいい。この一文で、始めるハードルが下がりました。

できていないことがあっても、いいんだね。

はい。6つのうち4つできていれば、十分に合格点だと思っています。あとは自分の生活で続けられるものを、1つずつ足していけばいいんです。
まとめ
- 判断の軸: 良い睡眠は「6時間以上」と「朝の休養感」の2本立て。同じ時間でも、朝スッキリ起きられているかで意味が変わる
- 5つの数字: 6時間以上/寝だめは1時間まで/カフェイン400mg・夕方以降は残る/入浴は1〜2時間前/65歳以上は布団8時間以内
- できないものは: 無理をしない。ガイドも「可能なものから」と書いている
- 受診の目安: 生活を整えても休養感が上がらないなら、睡眠時無呼吸などを疑って相談
約50ページのガイドを、あなたの生活に当てはめて1つだけ選んでみてください。私は運動からです。
昼寝の時間帯や、睡眠を削ったときのしわ寄せについては、下の記事に詳しくまとめています。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の効果を保証するものではありません。いびき・強い眠気・不眠が続く方は、医療機関にご相談ください。
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