2026年8月、中国・河北省で、出荷前の白菜をホルムアルデヒドの溶液に浸していたことが報じられました(問題の白菜は日本に輸出されていないと報告されています)。
では、食べ物の産地は、表示でどこまで分かるのでしょうか。
結論から言うと、生の野菜は売り場の表示で確実に見分けられます。難しいのは加工食品と外食です。
この記事でわかること
- 「国産」と「国内製造」の違い
- 表示で産地が分かる食品と、分からない食品
- 大戸屋とサイゼリヤが公開している野菜の産地
- 国の検査で分かっていること、分かっていないこと
私は外食が多いので、この件を知って、外食で使われる野菜の産地や衛生管理が心配になりました。そこで、産地の表示ルールを公的な資料で調べました。
スーパーの生野菜は、表示で確実に分かる
農林水産省の資料によると、家庭で買われる野菜(家計消費用)はほぼ100%が国産です。
輸入野菜の多くは、外食や惣菜、加工食品に使われています。生のまま入ってくるのは、輸入野菜全体の約2割です(令和3年度・生鮮換算の試算)。
つまり、輸入野菜の多くは「売り場の野菜コーナー」ではなく、加工食品・冷凍食品・外食を通って食卓に届いています。
そのうえ、生鮮食品には原産地の表示が義務づけられています。 国産なら都道府県名など、輸入品なら原産国名が、値札やパッケージに書かれています。
「中国産」と書かれていなければ、中国産ではありません。
カット野菜は種類で扱いが変わります。
- キャベツの千切りのような1種類だけのもの: 生鮮食品の扱いで、原産地が表示される
- 数種類を混ぜたミックス: 加工食品の扱いで、次の章のルールになる
私はカット野菜をよく使います。産地が書いてあるので、以前からなるべく産地を見て選んでいました。

売り場の野菜コーナーは国産が多いけど、加工食品は、輸入野菜が多いんだね。

はい。見るべき場所は加工食品の裏面です。表示のルールを知っておくと、迷わず選べるようになりますよ。
「国内製造」は「国産」ではない
ここがこの記事でいちばん伝えたい点です。
加工食品の原材料名に「〇〇(国内製造)」と書かれていることがあります。
「国内製造」は「日本国内で加工した」という意味で、原料の野菜が国産という意味ではありません。
消費者庁のルールでは、原材料がすでに加工されたもの(ペースト、塩漬け、粉など)の場合、原料の産地ではなく「製造した場所」を表示します。
たとえば、海外産のにんにくを国内の工場ですりおろしてペーストにし、それを別の食品に使った場合、表示は「にんにくペースト(国内製造)」になります。
見分け方は次のとおりです。
- 「白菜(国産)」「にんにく(中国産)」→ 野菜そのものの産地
- 「野菜ペースト(国内製造)」「塩蔵野菜(国内製造)」→ 加工した場所。原料の産地は表示からは分からない
「国産」と「国内製造」は、一文字違いで意味がまったく違います。


「国内製造」を国産だと思って買っていたよ。

そう思っている人は多いんですよ。表示のルールには、ほかにも知っておきたい限界があります。
加工食品の表示では、中国産を完全には見抜けない
国内で作られた加工食品には、原料の産地を表示するルールがあります。
ただし、このルールには限界が3つあります。
- 表示されるのは、いちばん多い原材料だけ: 産地の表示が義務なのは、重量がいちばん多い原材料1つです。野菜を何種類も使う食品では、2番目以降の野菜の産地は書かれていなくてもルール違反ではありません
- 「輸入」とまとめた表示が認められている: 3か国以上の外国産を使う場合です。その中に中国が入っているかは、表示からは分かりません
- 「A国又はB国」の表示が認められている: 仕入れ先が時期によって変わる場合です。手に取った商品がどちらの国のものかは、表示からは分かりません
表示を見るだけでは、中国産を100%見抜くことはできません。
反対に、「国産」や具体的な県名・国名がはっきり書かれている商品は、そのとおりに受け取れます。
補足:海外で作られて輸入された加工食品(輸入品の冷凍野菜やキムチなど)には、「原産国名」が表示されます。
外食と店内調理の惣菜は、表示の義務がない
レストランなどの外食と、店内で調理してその場で売る惣菜は、原料原産地表示の対象外です。
メニューや惣菜パックに産地が書かれていなくても、ルール違反ではありません。
外食については農林水産省のガイドラインがあり、産地の表示は店の自主的な取り組みに任されています。
気になる人ができることは2つです。
- 店に聞く: 売り場の人やお客様窓口に聞くと、答えてもらえることがあります
- 産地を公開している店を選ぶ: 公式サイトで主な食材の産地を公開している外食チェーンがあります


外で食べるものは分からないんだ。なんだか不安になってきた。

こわがらなくて大丈夫ですよ。まずは、公開されている事実を順番に見ていきましょう。
大戸屋とサイゼリヤが公開している野菜の産地
このブログで記事にした大戸屋とサイゼリヤは、どちらも公式サイトで主な食材の産地を公開しています。
大戸屋
公式の「主要原産地情報」(2026年10月現在)には、野菜14品目の産地が地域ごとに載っています。
- 中国産のみ: れんこん・ほうれん草・やまいも(全地域)
- 産地の1つに中国: キャベツ・玉葱・長ねぎ(全地域)、人参(北海道以外の地域)
- 白菜: 「大阪・中京・北陸・中四国」の地域だけ、産地の1つに中国が入っている
大根・じゃがいも・生姜・トマト・茄子は、ほぼ国産です。
サイゼリヤ
公式の「主要食材原産地一覧」(2026年6月10日更新)に載っているのは14品目です。
- カットレタス: レタス(国内)
- 玉ねぎズッパ・ミネストローネ: 玉ねぎ(中国、日本、アメリカ)
- コーンスープ: コーン(ニュージーランド、アメリカ又はアメリカ、中国)
ほうれん草など、一覧に載っていない野菜の産地は、この資料からは分かりません。
サイゼリヤの一覧は「食材原産国」と「主な原料原産地」を分けて書いています。ミネストローネは食材原産国が「日本」、原料の玉ねぎが「中国、日本、アメリカ」です。
加工した場所と原料の産地は別、という先ほどのルールの実例です。
出典: 大戸屋「主要原産地情報」(2026年10月5日確認)
サイゼリヤ「主要食材原産地一覧」(2026年10月5日確認)
国の検査で分かっていること
中国産の違反率は、特に高くない
厚生労働省の統計によると、令和6年度に中国から輸入された食品は約101万件で、食品衛生法の違反は193件でした。
違反率は0.02%です。すべての国を合わせた違反率は0.03%で、中国産が特に高いわけではありません。
検査されるのは、全体の約8%
同じ年度に輸入の届出があった食品は約247万件で、検査されたのは206,227件(8.4%)です。
国の検査は、輸入される食品を全部調べているわけではありません。
国内で検出されたという報告は見つかっていない
厚生労働省の通知によると、中国政府からは「問題となった白菜の対日輸出はない」と報告されています。一方で、中国産白菜を原料とする加工食品については、関係当局による確認が続いているとされています(2026年8月28日時点)。
厚生労働省が公表している輸入食品の違反事例(2026年8月分・9月分)にも、白菜やホルムアルデヒドに関する違反は載っていません(2026年10月5日確認)。

中国産の割合が高い野菜
全部の食品を調べるのは大変です。
中国産の割合が高い品目だけ覚えておくと、表示を見る場所がしぼれます。
- にんにく・しょうが・ねぎ・ごぼう: 生で輸入されるものは、ほぼ中国産(2千トン以上の輸入がある国は中国だけ)
- たまねぎ・にんじん: 生の輸入の大半が中国産(たまねぎ約27.8万トン、にんじん約10.3万トン)
- 白菜: 生で約1.3万トンが中国から輸入されている
- 冷凍野菜: ほうれんそうなど(約5.8万トン)、ブロッコリー(約5.3万トン)、さといも、えだまめなどが中国から輸入されている
数字は2025年のデータです。
生のたまねぎやにんじんは、売り場に原産地が表示されています。注意して見るのは、冷凍野菜と、これらを原料にした加工食品です。

出典: 農畜産業振興機構「野菜情報」2026年4月号「絵で見る野菜の輸入状況(令和7年/2025年速報)」(資料:財務省「貿易統計」)
冷凍野菜の選び方
冷凍野菜の袋の裏面には、次のどちらかが書かれています。
- 輸入品: 「原産国名 中国」のように原産国名
- 国内で作られたもの: 「ほうれんそう(国産)」「ブロッコリー(エクアドル産)」のように原料の産地

「国産」「北海道産」「宮崎県産」のように、産地がはっきり書かれた商品を選べば迷いません。
産地が「輸入」「又は」で書かれている商品は、避けたい人は選ばない、と決めておくと簡単です。
私は最近、冷凍食品をあまり使っていませんでした。国産の冷凍野菜はこれから実際に使ってみて、この記事に追記します。
表示を確認するのが大変なら、買う場所を変える
直売所・道の駅、生協の宅配、産直の通販は、産地がはっきりした野菜を買いやすい場所です。
どれも価格や手間は上がります。気になる品目だけ買う場所を変える、という使い方で十分です。
補足:国産の野菜でも、残留農薬の基準を超えた例はゼロではありません。産地は選ぶときの手がかりの1つで、国産なら何も気にしなくてよい、という意味ではありません。
これらを踏まえた私の考え
今回の報道をきっかけに、私なりにいろいろ調べてみました。結論としては、外食やお惣菜を買うにあたって、中国産の野菜を全て避けるのは難しいと感じました。
しかし、全ての中国産野菜に害があるとは思いません。国の検査での中国産の違反率は0.02%で、全体の0.03%と比べても高くないからです。
とはいえ、中国産野菜は徹底的に避けたいという方もいるでしょう。
大切なことは、自分なりに情報を得た上で、自分が納得できる方法を選択することだと思います。
私個人としては、自宅で食べる物に関しては中国産野菜を避けつつ、外食ではあまり気にしないことにします。
またお惣菜を買う頻度を減らして、代わりに、原料の産地がはっきり書かれた冷凍野菜や冷凍食品をいくつか試してみて、良さそうな商品をストックしておこうと思います。
これが正解というわけではありませんし、客観的な正解を決めるのも難しい問題だと感じています。
まとめ
- 生の野菜:原産地の表示が義務。売り場の表示で確実に見分けられる
- 「国内製造」:加工した場所のこと。原料が国産という意味ではない
- 加工食品・外食:表示だけでは完全には見抜けない。「国産」と明記された商品や、産地を公開している店を選ぶ
- 見る場所:冷凍野菜と、にんにく・たまねぎなどを原料にした加工食品にしぼる
さっそくスーパーで、原料の産地が書かれた冷凍野菜を探してみようと思います。
※この記事は2026年10月時点の公的資料・報道をもとに書いています。食品表示のルールや輸入の状況は変わることがあります。最新の情報は消費者庁・厚生労働省のサイトでご確認ください。
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