「エアコンをつけっぱなしで寝ると体に悪い」
昔はよくそんな話を聞きました。
しかし昨今の猛暑では、エアコンを切ると暑くて眠れない人も多いのではないでしょうか。
私もここ数年は、夜暑すぎるので、エアコンをつけっぱなしで寝ています。
寝るときのエアコンは、タイマーが良いか、つけっぱなしが良いのか?
先に結論から言うとエアコンはつけっぱなしでOK。ただし条件が3つあります。
今回は、真夏のエアコン設定の3条件を紹介します。
猛暑の夜でも、ぐっすり眠るための方法について学んでいきましょう。

つけっぱなしって、やっぱり体に悪いんじゃないの?朝だるいときがあるんだよね

その朝のだるさ、エアコンそのものが原因ではないかもしれませんよ。
実験では、途中で切ったほうが眠りは悪くなっていました
研究の答え:タイマーで切るより、朝まで一定のほうがよく眠れる
夏の寝室を再現した実験室で一晩眠ってもらい、脳波・心電図・体温を測りながら、3つの条件を比べた日本の研究があります。
- 寝ついてから2時間だけ26℃、その後は30℃(タイマーで切るのに近い状態)
- 28℃で朝まで一定
- 30℃のまま(冷房なし)
結果は、28℃で朝まで一定に保った条件がいちばん良かったと報告されています。
出典:川島庸・垣鍔直「夏期の睡眠時における最適な冷房条件に関する実験的研究」人間と生活環境 11巻1号(2004)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhesj/11/1/11_KJ00007030280/_article/-char/ja/
タイマーで冷房が切れたあと、部屋の温度と湿度はゆっくり上がっていきます。そして暑さで目が覚めるか、目が覚めないまでも眠りが浅くなる。
しかもそれが起きるのは、朝方に向かう睡眠の後半です。
寝つきだけを考えてタイマーをかけると、後半で睡眠の質はガタ落ちです。
気になる電気代は、一晩いくら?
とはいえ、いちばんのブレーキは電気代だと思います。最初は私も気にしていました。
パナソニックが、自社エアコン「エオリア」の利用者の夜間冷房データを公開しています。
それによると夜間の消費電力は平均92W。8時間つけっぱなしでも電気代は約23円という計算です(1kWhあたり31円)。
1ヶ月毎晩つけても700円ほどです。
ただし、これは一例です。部屋の断熱やエアコンの古さで変わり、8畳用の消費電力の幅で計算すると一晩30円〜260円の開きが出ます。
それでも夜は外気温が下がるぶん設定温度との差が小さく、エアコンは弱い運転で安定します。
日中に冷やすときほど電気を使わないのが、夜の冷房です。

電気代は気になるけど、夜眠れないのは嫌だな。
健康のためにもつけっぱなしの方が良いかも

浮いていたのは数十円ですからね。ただ、つけっぱなしには守ってほしい条件が3つあります。ここを外すと逆効果になってしまうんです

条件1:風を体に当てない

豊橋技術科学大学の都築和代教授らの研究チームが、同じ26℃の寝室で、エアコンの風の強さだけを変えて比べました。平均風速0.14m/s(一般的なエアコン)と0.04m/s(特別仕様)です。
0.2m/s以下は「不感気流」と呼ばれ、人が感じない程度の弱さです。
実際、一晩を通した快適感や睡眠の深さの合計には、大きな差がありませんでした。
ところが冷風が吹き出したタイミングを細かく見ると、0.14m/sのほうが、寝返り・心拍数の上昇・目が覚める回数が明らかに多かったと報告されています。
出典:豊橋技術科学大学プレスリリース「夏のエアコン、快適と感じていても睡眠の質が悪化している?」(2017年3月2日)
https://www.tut.ac.jp/docs/PR170302.pdf
原著:Morito N, Tsuzuki K, et al. Energy and Buildings, 138, 490-498 (2017)
つまり、エアコンの風が当たる位置にいると、風を感じなくても睡眠の質が下がる可能性があるということです。
対策としては、エアコンの風を上向きにするのがおすすめです。
冷たい空気は自然に下りてくるので、下に向ける必要はありません。
反対に温かい風は上に上がるため、暖房時は風を下に向けるのがおすすめです。
扇風機やサーキュレーターを使用している人は特に注意です。エアコンの風より強いので、直接当てると、より睡眠の質は下がる可能性があります。
私がサーキュレーターを使用するときは、サーキュレーターの風を壁に当てて、部屋の空気を循環させています。壁に当てて跳ね返らせれば、温度ムラが減って、風は体に当たりません。
条件2:温度だけでなく湿度を見る

先ほどの川島・垣鍔の研究は、実は温度だけの話ではありません。
室温28℃一定に加えて、湿度を寝つくときは40%、その後は60%で制御した条件が最適だったと報告されています。
体は汗が蒸発するときに熱を逃がしています。湿度が高いと汗が蒸発できないので、温度計の数字が同じでも暑く感じます。
同じ28℃でも、湿度50%と75%では体感がまったく違うわけです。
我が家では夏用の冷感シーツと掛け布団を使っています。布団に入る瞬間はひんやりして、たしかに気持ちいいです。
ただ、部屋が暑かったり湿度が高かったりすると、結局は蒸れて暑くなります。最初のひんやりは長続きしません。
寝具は「入り口の快適さ」は作れても、部屋そのものの環境には勝てません。冷感寝具を買い足すより先に、部屋の湿度を確認したほうが早いと思います。
そこでおすすめしたいのが、寝室に温湿度計を置くことです。
エアコンの設定温度28℃と、実際の室温28℃は別物です。設定は28℃なのに枕元は30℃、ということが普通に起きます。
私はシンプルでコスパの良いサーモプロの温湿度計を使って、温度・湿度を確認しています。
寝室の目安は、室温26〜28℃・湿度50〜60%。湿度が60%を超えているなら、設定温度を下げるより除湿を使うほうが体感は変わります。
ただし除湿には2種類あり、「弱冷房除湿」は冷房より安く、「再熱除湿」は冷やした空気を温め直すぶん冷房より高くつきます。ご自宅がどちらの方式かは取扱説明書で確認を。
条件3:冷えすぎは、設定温度ではなく服装で防ぐ
「エアコンのつけっぱなしは体に悪い」と言われる正体は、たいていこれです。
夜中に寒くて目が覚める、朝だるい、喉が痛い。こうした経験があると「エアコンが悪い」と思ってしまいますが、実際に起きているのは冷やしすぎ、もしくは服装と寝具のミスマッチです。

朝に体が冷えきって、体調崩すのはこわいなあ

こわがらなくて大丈夫ですよ。温度を上げるのではなく、着るもので調整すればいいんです。そのほうが毎晩ラクに続きます
寒い時にやりがちなのが、エアコンの設定温度を上げて対応することです。
それをすると、今度は暑くて眠れません。毎晩上げ下げして調整するのは続きません。
設定温度は変えずに、着るものと掛けるもので調整するほうが、ずっとうまくいきます。
- 薄手の長袖・長ズボンのパジャマを着る(Tシャツ短パンだと肩とお腹が冷えます)
- 綿や麻など、汗を吸う素材を選ぶ
- タオルケットを1枚かけて、お腹だけでも守る
裸やTシャツ1枚で寝て、朝に体が冷えきっている。これを「エアコンのせい」にすると、エアコンを切るという間違った対策に行き着きます。
エアコンは切らない。着るもので調整する。これが3つ目の条件です。
補足:締め切った寝室の空気について
あまり語られない話を、ひとつだけ短く。
一般的な家庭用エアコンには、換気の機能がありません。部屋の空気を冷やして戻しているだけで、外の空気を取り込んではいません。つまり「つけっぱなし=窓を閉め切ったまま朝まで」ということです。
デンマークの研究では、閉め切った寝室で二酸化炭素の濃度が2,400〜2,600ppmまで上がり、換気して800ppm前後に保った場合と比べて、朝の「休めた感じ」や翌日の作業成績が下がったと報告されています。
出典:Strøm-Tejsen P, et al. “The effects of bedroom air quality on sleep and next-day performance” Indoor Air, 26(5), 679-686 (2016)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/ina.12254
難しいことは必要ありません。
寝る前に寝室の窓を10分開けて、こもった空気を入れ替える。
そのうえで、寝室のドアを少し開けておくか、24時間換気を切らない。
寝る前の換気は空気のリセット、ドアの隙間と24時間換気は寝ているあいだの入れ替えです。
暑い夜に窓を開けっぱなしにしなくても、この2つで空気の流れができます。
まとめ
夏の夜中のエアコンは、つけっぱなしで大丈夫です。ただし3つだけ守ってください。
- 風を体に当てない。サーキュレーターは壁に当てて空気を回す
- 温度だけでなく湿度を見る。目安は室温26〜28℃・湿度50〜60%。まず温湿度計を置く
- 冷えすぎは服装で防ぐ。設定温度ではなく、薄手の長袖パジャマとタオルケットで調整する
電気代は一晩数十円です。切るか迷ったときは、つけたままにしてみてください。
寝室が整ったら、次は寝る前の30分です。こちらはナイトルーティンの記事にまとめています。
無理なく始めてみてくださいね。
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※この記事は健康情報の提供を目的としたもので、診断や治療を目的とするものではありません。体調に不安のある方、持病のある方は、医師にご相談ください。




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